今回は、蛍光光度分析の注意点を中心としてお話していきます
蛍光の発生や、発生した蛍光を使った分析で、それらを阻害する要因について
まとめていきたいと思います
蛍光は、吸収した光エネルギーによって、励起された電子が元の基底状態に戻るときに
発生する光のことです
このとき、吸収した光のエネルギーは、放射失活するとき、
エネルギーの一部を振動という運動エネルギーに変換されて消費されるため、
エネルギーの低い光になって放出されます
つまり、波長が元の光よりも長い光として放出されます
蛍光放射は、無放射失活及び、三重項と呼ばれる状態へ遷移することなので、
蛍光の量子の収集率を上げるためには、他の蛍光を出さない系統の反応速度を
遅くすることが重要になります
蛍光光度分析は、分析したい物質が蛍光性を持っているか、
蛍光試薬を分析したい物質と反応させて、蛍光物質に変える方法があります
蛍光物質の種類として、共役二重結合を持っている、平面の分子が多いです
蛍光物質とは逆に、蛍光の強度を減少させる物質もあります
それらは、消光分子と言います
蛍光物質の濃度を一定に固定して、その時の消光の度合いから
消光分子の定量を行うことができます
消光分子以外にも消光する要因があります
- 濃度消光
- 常磁性イオンの消光
- 酸素分子の消光
- 温度消光
- 重原子消光
1.濃度消光とは
蛍光物質が一定以上の濃度になったとき、蛍光の強度が低下する現象のことです
励起された分子と励起されていない分子とが衝突することで、消光したり、
基底状態の分子が会合することによって、消光される現象のことです
2.常磁性イオンの消光とは
鉄鏃金属や、銅などの常磁性のイオンに見られる減少で、
それぞれが色を持っているため、光を吸収してしまうことで、
蛍光分子のエネルギーを光以外に変換してしまうため、消光してしまうと考えられています
3.酸素分子の消光
置換基を持っていない芳香族化合物(環状構造の一部の種類のこと)は、
酸素分子によって強く消光されます
この反応は、常磁性三重厚状態をとる酸素分子と、
蛍光性分子の相互作用で、無放射の遷移が多く起こるからです
4.温度消光
温度の上昇によって、蛍光光度が減少する現象です
高温では、分子の運動が活発になるため、
分子同士の衝突によって、エネルギーが移動したり、
各系統での変換が起こりやすくなるからです
5.重原子消光
蛍光性分子に重ハロゲンや重金属イオンが溶液内に入ると、
消光する現象です
スピン−軌道相互作用が大きくなることで、
系統の交換する反応が起こりやすいからです
今回は、蛍光光度分析について注意点等を中心にお話しました
蛍光光度分析は、注意点を守ると、とても有用な分析手法なので、
少しでもお役に立てていたら嬉しいです
今回もありがとうございました
次回もよろしくお願いいたします