機器分析化学_蛍光光度分析2

今回は、蛍光光度分析の注意点を中心としてお話していきます

蛍光の発生や、発生した蛍光を使った分析で、それらを阻害する要因について

まとめていきたいと思います

蛍光の放射

蛍光は、吸収した光エネルギーによって、励起された電子が元の基底状態に戻るときに

発生する光のことです

このとき、吸収した光のエネルギーは、放射失活するとき、

エネルギーの一部を振動という運動エネルギーに変換されて消費されるため、

エネルギーの低い光になって放出されます

つまり、波長が元の光よりも長い光として放出されます

蛍光放射は、無放射失活及び、三重項と呼ばれる状態へ遷移することなので、

蛍光の量子の収集率を上げるためには、他の蛍光を出さない系統の反応速度を

遅くすることが重要になります

蛍光光度分析について_方法と注意点

蛍光光度分析は、分析したい物質が蛍光性を持っているか、

蛍光試薬を分析したい物質と反応させて、蛍光物質に変える方法があります

蛍光物質の種類として、共役二重結合を持っている、平面の分子が多いです

蛍光物質とは逆に、蛍光の強度を減少させる物質もあります

それらは、消光分子と言います

蛍光物質の濃度を一定に固定して、その時の消光の度合いから

消光分子の定量を行うことができます

消光分子以外にも消光する要因があります

消光分子以外の消光の原因例
  1. 濃度消光
  2. 常磁性イオンの消光
  3. 酸素分子の消光
  4. 温度消光
  5. 重原子消光

1.濃度消光とは

蛍光物質が一定以上の濃度になったとき、蛍光の強度が低下する現象のことです

励起された分子と励起されていない分子とが衝突することで、消光したり、

基底状態の分子が会合することによって、消光される現象のことです

2.常磁性イオンの消光とは

鉄鏃金属や、銅などの常磁性のイオンに見られる減少で、

それぞれが色を持っているため、光を吸収してしまうことで、

蛍光分子のエネルギーを光以外に変換してしまうため、消光してしまうと考えられています

3.酸素分子の消光

置換基を持っていない芳香族化合物(環状構造の一部の種類のこと)は、

酸素分子によって強く消光されます

この反応は、常磁性三重厚状態をとる酸素分子と、

蛍光性分子の相互作用で、無放射の遷移が多く起こるからです

4.温度消光

温度の上昇によって、蛍光光度が減少する現象です

高温では、分子の運動が活発になるため、

分子同士の衝突によって、エネルギーが移動したり、

各系統での変換が起こりやすくなるからです

5.重原子消光

蛍光性分子に重ハロゲンや重金属イオンが溶液内に入ると、

消光する現象です

スピン−軌道相互作用が大きくなることで、

系統の交換する反応が起こりやすいからです

最後に

今回は、蛍光光度分析について注意点等を中心にお話しました

蛍光光度分析は、注意点を守ると、とても有用な分析手法なので、

少しでもお役に立てていたら嬉しいです

今回もありがとうございました

次回もよろしくお願いいたします

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