今回は、ICP-MSについてお話していきます
前回のICP-AESとは違って、質量を分析するICPになります
この方法を知ることで、同位体が複数あるような元素も測定できる
手法について知ることができると思います
ICP−MSは、ICP-mass spectrometoryの略です
これは日本語では、高周波誘導結合質量分析装置と言って、
1980年頃にHoukやGrayといった方々によって、発表された分析手法です
その後、1983年に初めて分析機器として発売されてから、
今まで、急速に発展してきた分析手法です
このICP−MSの原理をお話していきます
アルゴンガスを誘導加熱装置に導入して、プラズマ化した後、
このプラズマに分析したい試料の霧化したものを導入することによって、
イオン化して、このイオン化したものの質量を分析する質量分析法です
プラズマ中で発生したイオンは、インターフェースというところを通過した後、
高度に真空状態に保たれた部分に引き込まれます
この言う音は、イオンレンズで集められて、質量分析計にかけられます
かけられたことによって、質量と、そのイオンが持つ電荷に応じて分離して、
検出器を使って、計測されます
この時使用される質量分析計には2種類存在していて、
四重電極と二重収束というものが一般的に利用されます
ICP−MSが市販されてここまで普及したのは、
大気圧中で、発生させたイオンを高度な真空状態である、
四重電極型や二重収束型の質量分析器に導入するための
技術が発達したことで普及してきた歴史があります
このICP−MSは、定性分析、半定量分析、定量分析のいずれの分析も可能です
そしてこのICP−MSが発展してきたように、
同じ質量分析装置を積んだ液体クロマトグラフィーであるLC-MSや
ガスクロマトグラフィーであるGC-MSも同時に発展して開発されました
この事によって、ICPで分析できる無機化合物だけでなく、
有機化合物も質量分析を用いた精密な分析が可能になりました
先程、お話した質量分析計の四重電極型のICP−MSは、
二重収束型と比較して、質量分解能が低いといった特徴があります
したがって、分子イオン等の干渉が問題になることがあります
しかし、二重収束型よりも高感度といった特徴も有しているので、
二重収束型の質量分析計よりも使用されていることが多い質量分析計となっています
対して、二重収束型は、質量の分解能が四重電極型よりも高いので、
分解能数が、千〜1万程度のものの測定が可能です
したがって、四重電極型の特徴であった、分子イオン干渉の問題を解決できて、
干渉を四重電極型より気にすることなく分析を行うことができるといった特徴を有しています
干渉の問題を解決できることで、周期表にあるほぼ全ての元素について分析が可能で、
それらを同時分析できる特徴も有しています
測定したい元素の濃度はppt(10億分の1)のオーダーまで分析することができます
そして質量分析計を用いた質量分析法なので同位体も同時に測定可能といった、
元素について知りたい情報の殆どを一つの装置で分析できるため、
ここまで普及し、現在多くの場所で利用されている装置になっています
今回は、ICP−MSについてお話していきました
無機化合物系の元素を分析するに当たって、ここまで有用な装置は、なかなか無いと思います
質量分析法は、途中に少しご紹介したように、無機化合物以外の分析にも使用されているので、
大切な分析手法になります
少しでも頭に残っていただけていたら嬉しいです
これからも少しでもお役に立てる内容を発信していけるようにしていきます
今回もありがとうございました
なにか、知りたいことがございましたら、コメントに書いていただけると嬉しいです
次回もよろしくお願いいたします