今回は、電解の優先順位を決める電位について、
この電位の測定方法について話していきます
今回の内容を見ていくことで、電気化学の電解反応について
考える上で重要な電位の測定方法や成り立ちについて学ぶことができると思います
例えば、前回説明した銅の電解精錬を例とすると、
硫酸銅水溶液に銅の棒を浸漬しても変化がないと説明していました。
しかし、外から見た変化がないだけで、溶液と電極には、小さな電位差が生じています。
しかし、銅の棒が溶ける反応と溶液から銅が析出する反応の反応速度が一緒であるため、
見かけ上反応していないように見えます
この状態を平衡電位であるといいます
平衡電位は、金属と溶液の間だけでなく、金属イオン間や気体とイオン間にも言います
この電位とは、標準水素電極を用いて、水素と水素イオン間の電位差を0として
この電位からプラスなのかマイナスなのかで評価されます。
今使用した標準水素電極で測定するのが、
得られた値をそのまま電位として使用できます
しかし、電位差を測定するために、水素ガスを使用するために、
測定がしにくかったり、そもそも危険を伴う場合もあるために、
他の標準電極を使用して、一般的に測定されます
多く使用されている電極として、
- カロメル電極、
- 銀・塩化銀電極
上記の二種類があります
カロメル電極は、水銀と塩化水銀を使用するため、
健康や環境に大きな影響を与える可能性があるため、
銀・塩化銀電極が今は多く使用されています。
この電極と、水素電極の電位差は+0.199 Vあります
電位を計算する方法として
ネルンスト式があります
E=E0+RT/nF・lnaMn+/aM ・・ネルンスト式
このE0部分に標準電極電位の電位すなわち、銀・塩化銀電極の
電位を記入します
その他の記号は
- R:気体定数
- T:温度(絶対温度)
- n:価数
- F:ファラデー定数(6.022×10^23)
- aMn+:イオンの活量(水素電極の場合0となる)
- aM:金属の活量(水素電極の場合0となる)
上記の数値が入ります
これで電極の電位が確定され、これらの電極を用いて、
これからの反応電位を測定していきます
電極にはプラス極とマイナス極とがあります
電解反応では、電子をイオンに渡して、析出反応を起こす
マイナス極のことをカソードといい、
プラス極のことをアノードと言います
どちらにも電位は発生しており、カソード電位でも
アノード電位でもどちらでも電位変化を測定することは可能です
しかし、めっき反応では、析出される金属が得られるカソードの
反応状態を知りたいので、カソードの電位を測定し、電流変化による
電位の変化を測定することが一般的です
電位の測定は、自分が注視する反応が起こる方の電極側で取ることで、
反応状況等を目視することなく確認することができます
したがって、電位を測定する場合は、
- 電解することでどのような反応をするのか
- 何の標準電極で電位を測定し、その標準電極電位はどんな数値か
- 自分がほしい反応は、カソードで起こるのか、それともアノードで起こるのか
上記の3点に気をつけて測定する必要があります
最後に、電位とは
- 水素の分子とイオンの電位差を0として、この数値を基準として定められている
- 標準電極には種類があり、一般的に、銀・塩化銀電極が用いられる
- 電極電位の値は、ネルンスト式により、補正した数値を求める
- 測定する際は何の反応を見たいのかに気をつけて、測定する電極を決定する必要があるもの
上記の点に気をつけて測定することで、
溶液中に沈んで、どんな反応をしているのか見ることのできない電極反応を
確認することができるものです
次回は、この電位によって、どんな反応を確認することができるのか、
めっき反応を中心にお話しいていきます
これから、本格的な内容になっていきますが
次回もよろしくお願いいたします
今回も閲覧していただき、ありがとうございました