今回は、溶媒抽出について話していきます
溶解のしやすさの違いを用いた手法について理解をできるようにお話していきます
様々な物質が混合してしまっている溶液から狙った物質を純粋な形で分離する方法です
この中での溶媒の溶解度の差を用いて抽出する方法のことを溶媒抽出と言います
2つの混じらない液相(水と油のような)が一つの容器に同時に存在する場所に
溶質を入れたとき、両方の溶液に分配して平衡状態になります
この平衡状態のことを分配平衡と言います
その中でも、2層の液相に分配しているので、
2層間分離平衡と言います
分配定数とは、分離平衡の状態になるときの定数のことです
分離定数は、KDと記載し、計算式は
KD=[S]O/[S]a
[S]O:溶質が有機層に分配する量 [S]a:水等の極性溶媒に分配する溶質の量で計算されます
この式は両方の層に溶けている濃度が小さいときには実際の数値に近い値になります
したがって、あまりにも高い濃度の場合は、少しづつ値がずれていくということがあります
また、濃度が一つの物質で決まっていることから、単一の物質にのみ適用できるという特徴を持っています
分配比は、いくつかの化学種の平衡について計算するもののことを言います
一つ一つの物質についての分配については、分配定数で求めることができますが、
全体のつまり全ての物質における分配を分配定数で求めることはできないです
このときに利用されるのが分配比でDとして示されます
分配比の計算式は
D=co/ca
co:有機溶媒内の全物質濃度
ca:極性溶媒内の全物質濃度
となります
全体濃度での比率を計算する方法であるため、
全体比率のみがわかる定数となっています
抽出百分率とは、分配定数と分配比の弱点同士を補ったような定数です
分配定数や分配比は二層管のどっちかに溶質が分配されやすいのかを見極めるのには優れています
しかし、自身が必要としている物質一つがどれだけ抽出されているかを確認することは苦手としています
この抽出されている量を確認する指標としてできたのが抽出百分率と言います
抽出百分率は、2相に存在する溶質の全量のうち、何%が有機溶媒中にあるかを知ることができます
抽出百分率Eの計算式は
E=(D/(D+Va/Vo))×100
D:分配比
Va:極性溶媒の体積
Vo:有機溶媒の体積
となります
したがって、有機溶媒と極性溶媒の体積が一緒であり、分配比が1であるときに
抽出百分率は50%となります
有機溶媒の体積を大きくしていくことで、抽出される量が増えるため、
抽出百分率は上昇していくということになります
今回は、溶媒抽出についてお話していきました
物質の溶け方の違いを利用して分離する方法と
その計算方法の違いについて、少しでも学びになっていたら嬉しいです
今回もありがとうございました
次回もよろしくお願いいたします