今回は、実際の分析方法についてお話していきます
無機化合物、有機化合物のいずれもご紹介していきます
無機化合物は、無機化合物自体が蛍光を示すものは、ほとんどありません
したがって、無機化合物を蛍光光度分析する際には、
蛍光試薬と反応させて、蛍光性化合物にして蛍光光度増強したり、
無機化合物の持つ、消光作用を利用して、定量分析しています
蛍光試薬としては、
- アゾ化合物
- ベンゾチアゾール化合物
- 8−キノリノール類
- シッフ塩基化合物
等があります
これらは、アルカリ土類金属や、希土類金属イオン、
アルミニウムを代表とする、第三族元素の定量分析に用いられています
これからその他の金属の分析手法についてご紹介していきます
水溶性ポルフィリンを用いた、微量銅の分析
はじめに、溶液内に含まれる銅イオンの量が、0.3〜3 μg以下の溶液に、
テトラフェニルポルフィリントリスルホンを加えて、
酢酸緩衝溶液を加えて、pHを4に調整します
これに加えるテトラフェニルポルフィリントリスルホン酸は5 mL加えます
その後、1分ほど煮沸させたあと、加熱をやめ、冷却します
1Mのモノクロロ酢酸を1.5 mL添加後、pHを2.5に調整します
その後、蒸留水を用いて、溶液の全量を50 mLに調整したあと、
励起波長を434 nmとして、測定する蛍光光度は、657 nmに設定して測定することで、
溶存している銅イオンの消光によって変化する蛍光強度の違いによって、
銅イオンを定量することができます
溶媒を用いた、抽出蛍光光度分析
鉛を1.25 μg以上含んでいる溶液に、クリプタンド水溶液0.3 mLとトリス緩衝液1 mLと
エオシン−二ナトリウム溶液を0.2 mL加えて、全量を蒸留水を用いて、5 mLにします
その溶液の中に、クロロホルムを5 mL加えて、浸透します
その後、動かさず、放置し、その後上澄み部分のみを取り出して、
536 nmの励起光設定で、522 nmの波長の蛍光強度測定の設定にすることによって、
鉛の定量分析ができます
このように、それぞれの金属に特有の蛍光光度分析手法があります
それぞれの金属にあった方法を取ることで、微量分析を精度良く行うことができます
有機化合物の蛍光光度分析
有機化合物の中には、多環芳香族炭化水素など、測定したい有機化合物自体が、蛍光を示す化合物があります
それらの化合物は、自分自身が傾向を示すため、前処理などを行わず、直接蛍光光度分析を行います
しかし、有機化合物の中にも、蛍光を示さない物質や、蛍光を示しても、分析に適さないほど
弱い蛍光しか示さない有機化合物も存在します
その有機化合物は、無機化合物同様に、蛍光試料と反応させて、蛍光光度分析を行います
これから、自分自身の蛍光で分析するタイプではない有機化合物の分析例を示します
血中のアスコルビン酸の蛍光光度分析について
まず、今回分析するアスコルビン酸とは、ビタミンCのことです
ビタミンCには、欠乏症が存在するため、生物科学分野で用いられる手法です
血清4 μLにトリクロロ酢酸溶液を加えて、5分ほど放置します
その後、遠心分離機にかけて、分離作業を行います
得られた上澄み部分だけを取り出して、そこに、ブリトン−ロビンソン緩衝液1 mLと
ヨウ素溶液を加えて、20秒ほど放置したあと、ヨウ素をチオ硫酸ナトリウムを用いて、
析出させます
その後、ジアミノ4,5ジメトキシベンゼンを加えて、蛍光を発するまで30分間約40℃で加熱します
その後、蛍光を発することを確認し、励起は超設定を371 nmにして、蛍光検出波長設定を458 nmにして
蛍光強度を測定することによって、54 ng〜1.8 μgのアスコルビン酸を定量分析することができます
今回は、蛍光光度分析の具体的な分析についてお話してきました
金属であっても、炭化水素系の有機化合物でも、それぞれの物質にあった前処理と、
測定条件にすることで、蛍光光度分析を行うことができ、
蛍光光度分析の持つ、正確性の利益を得ることができるということを
学んでいただけたら嬉しいです
今回もありがとうございました
次回もよろしくお願いいたします