前回まで、めっきに必要な電位について説明しました
まだ、電位等について全くわからない方は、過去の記事をご確認いただけると
すごくありがたいです
今までは、電位を用いて、反応状態を予測する方法について説明していきました
今回から、めっき反応そのものについてお話していきます
最後まで読んでいただくことで、めっきがどのように形成されていくのかがわかるようになります
少しマニアックな部分になるので、簡単に示していこうと思います
めっき反応は電子を供給する電極でおきます
この電極表面の、めっき反応に使われる溶液がある範囲のことを
拡散層といいます
拡散層に存在する溶液がめっき反応に使われるということです
この層内のめっき液でも、より電極に近いところがより反応しやすいです
これは、距離が近ければ近いほど少ないエネルギーで反応を進めることができるからです
拡散層は、常に一定というわけではありません
溶液の撹拌や、温度変化により、層の厚みは変動します
溶液が拡散されると、物理的に、遠くの溶液が、電極の方に動いてきます
したがって、遠くの溶液まで、反応に用いられるようになっているため、
拡散層は厚くなったということになります
また、溶液温度が上昇することによって、分子運動や、拡散速度の上昇による
溶液の動きが発生するため、こちらも拡散層が厚くなる要因となります
拡散層が熱くなるということは、めっきに使用できる金属イオンの量が増えることになるため、
限界電位に達する電流量(限界電流密度)が増大することが知られています
したがって、効率的にめっきするために、この2点を変更することはよくあります
拡散層の金属イオンに、電極表面から電子が供給されると、はじめに吸着原子となり、電極表面を移動します
その後、結晶核を形成し、その後、決勝角にあるキンク(結晶核の端で、段差になっている部分)
に新たな吸着原子が移動してくることでステップ(結晶核の端ではあるが、比較的フラットな部分)を形成する
この反応を繰り返すことで、テラス(めっき表面)が形成されていく
この考えを、キンク・ステップモデルと言い、めっきの成膜反応の考えとなっています
このときに、上記した、拡散等がうまく電流量とあっていたとき、
順序よく反応が進み、かつ、金属イオンの欠乏が発生しないため、水素の発生など、
成膜に悪影響を及ぼす反応を抑制することができる
今回は、少し短めですが、めっきのでき方について簡単に説明していきました。
次回は、電位とめっき反応についてまとめ、これまでの総括を行おうと思います
今回もご覧いただき、ありがとうございます
次回もよろしくお願いいたします