今回は原子吸光分析についてお話していきます
金属イオンの分析で、「原子吸光で測ればいいよ」
なんて言われたことがある方もいらっしゃるかもしれません
今回のお話を聞くことで、どういった原理で測定されているのかを知ることができます
それでは、お話を開始いたします
通常基底状態の原子は、特有の波長を光を吸収します
吸収すると、そのエネルギーを用いて、
基底状態から励起状態に変化します
原子吸光分析は、この性質を利用して分析する方法です
フレームと呼ばれる場所に測定したい物質の入った溶液を通過させて、
原子の含有した蒸気にします
その上記に、測定したい物質の吸収して励起する波長の光を照射します
このとき、蒸気に含まれる、測定したい物質は、光を吸収します
この吸収された光の強さを測定して、試料溶液の中の物質濃度を測定する方法です
特徴として、ほとんどの金属元素を極微量の定量分析ができ、
試料の形状に影響されない特徴があります
さらに、溶液の中に一緒に入っているイオンの影響等は受けにくいため、
選択的に目的の物質を測定することができます
しかし、複数種類の物質を同時に測定することができないので、
定性分析には不向きな分析方法です
原子吸光分析は、上に示したとおり、定量分析に力を発揮するため、
溶液濃度との関係性が重要になります
以前にお話した、吸光光度分析と同様に、吸光度と濃度の関係は、
ランベルト-ベールの法則に沿って変化します
I=I0e-KvL
I:吸光度
I0:光源の強度
e:電子の電荷
Kv:振動数がvのときの光の吸収係数
L:物質蒸気の層の厚さ(cm)
フレームを通って、物質が原子蒸気になっているときは、
一部が励起状態になっています
基底状態の原子の数とボルツマン分布で成り立ちます
N=N0×(g/g0)×e-E/kT
N:一部の励起状態の原子の数
N0:基底状態のときの原子の数
g:励起状態の統計的な重率
g0:基底状態の統計的な重率
e:電子の電荷
E:励起するためのエネルギー
k:ボルツマン定数
T:絶対温度
この計算式からも、加熱温度が高くなるに連れて、励起状態になる原子の数は増加します
原子吸光分析で使うフレームの温度は、3000℃以下のときはほとんどです
励起状態にある原子の数は、基底状態にある原子の数に比べて、極端に少なくなるため、
計算するときは、無視できるほど小さい数値になります
したがって、先程の計算式のNとN0は等しいとして計算できます
物質の入った溶液の濃度をcとしたとき、フレームの中の原子の数Nと測定条件が一定なら
比例関係にあるので、Nを正確に求めることができれば、cも定まるということになります
原子吸光分析では、物質の原子蒸気の吸収の割合は吸光光度分析のときと同じように、
吸光度で表します
A=log(I0/I)
したがって、吸光度を求めることによって、濃度を求めることができます
最後に
今回は、吸光光度分析についてお話してきました
定量分析を行う際には、とても有用な機器分析方法なので、
使用できるシチュエーションや原理を少しでも知っているだけで変わって見えることもあると思います
今回もありがとうございました
なにか、知りたいことなどありましたら、
コメントいただけるとありがたいです
それでは、次回もよろしくお願いいたします